市川 陽子 漆皮展


2020年6月20日(土)〜7月5日(日)
12時〜18時半 営業(最終日5日は17時までの営業)

会期中休業日:6月25日(木)、7月1日(水)、2日(木)
作家在廊日:6月20日(土)、21日(日)

オンライン販売は27日(土) 15時より開始予定

漆皮( しっぴ) の制作を行う市川陽子さんの個展を開催します。
漆皮とは、皮革を素地とし、それに漆を施したもののことを言います。
皮革は人類が誕生したころから生活用品として使われていた素材で、漆は縄文時代前期には活用
されていたと言われています。それらを合わせた漆皮の生産は奈良時代には行われていました。

皮革に限らず古代の漆製品には実にたくさんの素材が使われていて、浸み込む、接着する、混ざ
る、覆う、固まるといった漆の性質を、豊かに、柔軟に表しています。
そうした原始的で雑多なあり方は、漆芸というものが洗練されていく中で淘汰されてきました。

「漆芸」になる前にとりこぼされていった未分化な漆のあり様。ブリコラージュな手つき。
漆皮に取り組むときに触れるそうした感覚に市川さんは惹かれています。

本展に向けての市川さんのお言葉を以下にご紹介致します。

-
現在私が取り組む漆皮は、伝世する漆皮資料の製造方法とは異なるものです。
例えば、材料である皮革は、よく鞣された物を使用しています。当時は原皮に近いものが使われていました。また、整形のための型もほとんど用いません。それらは意図的に選択された差異として、私の制作物に反映されています。昔の技術を理解することは必要ですが、それを再現して作ることは私にとってはあまり意味がなく、現在だからこそ手に入る(あるいは手に入りやすい)素材や、自分の価値観のもとで再構成することに魅力を感じます。試行錯誤しながら生まれる制作物は、決してスマートではないし不足もあります。しかし、いまこのとき、わたしから生まれている。そうした実感を与えてくれます。
今回のtoripie KYOTOでの展示に際し、「ささやかな装飾性」と「壺型」というのが浮かびました。皮革に傷をつけてみると可塑性が高まり、形そのものや表面の表情に反映され、わずかながらこれまでよりも作為的な造形が可能になりました。そうした変化を見てもらえたら嬉しく思います。


<作家略歴>
市川 陽子
1985 年大阪府生まれ。
2009 年京都市立芸術大学美術学部工芸科卒業。
2011 年同大学院美術研究科漆工専攻修了。
現在京都市を拠点に活動。

作品撮影:来田猛

市川 陽子 漆皮展


2020年6月20日(土)〜7月5日(日)
12時〜18時半 営業(最終日5日は17時までの営業)

会期中休業日:6月25日(木)、7月1日(水)、2日(木)
作家在廊日:6月20日(土)、21日(日)

オンライン販売は27日(土) 15時より開始予定

漆皮( しっぴ) の制作を行う市川陽子さんの個展を開催します。
漆皮とは、皮革を素地とし、それに漆を施したもののことを言います。
皮革は人類が誕生したころから生活用品として使われていた素材で、漆は縄文時代前期には活用
されていたと言われています。それらを合わせた漆皮の生産は奈良時代には行われていました。

皮革に限らず古代の漆製品には実にたくさんの素材が使われていて、浸み込む、接着する、混ざ
る、覆う、固まるといった漆の性質を、豊かに、柔軟に表しています。
そうした原始的で雑多なあり方は、漆芸というものが洗練されていく中で淘汰されてきました。

「漆芸」になる前にとりこぼされていった未分化な漆のあり様。ブリコラージュな手つき。
漆皮に取り組むときに触れるそうした感覚に市川さんは惹かれています。

本展に向けての市川さんのお言葉を以下にご紹介致します。

-
現在私が取り組む漆皮は、伝世する漆皮資料の製造方法とは異なるものです。
例えば、材料である皮革は、よく鞣された物を使用しています。当時は原皮に近いものが使われていました。また、整形のための型もほとんど用いません。それらは意図的に選択された差異として、私の制作物に反映されています。昔の技術を理解することは必要ですが、それを再現して作ることは私にとってはあまり意味がなく、現在だからこそ手に入る(あるいは手に入りやすい)素材や、自分の価値観のもとで再構成することに魅力を感じます。試行錯誤しながら生まれる制作物は、決してスマートではないし不足もあります。しかし、いまこのとき、わたしから生まれている。そうした実感を与えてくれます。
今回のtoripie KYOTOでの展示に際し、「ささやかな装飾性」と「壺型」というのが浮かびました。皮革に傷をつけてみると可塑性が高まり、形そのものや表面の表情に反映され、わずかながらこれまでよりも作為的な造形が可能になりました。そうした変化を見てもらえたら嬉しく思います。


<作家略歴>
市川 陽子
1985 年大阪府生まれ。
2009 年京都市立芸術大学美術学部工芸科卒業。
2011 年同大学院美術研究科漆工専攻修了。
現在京都市を拠点に活動。

作品撮影:来田猛